【行政書士が解説】トラック事業許可が更新制に!?貨物自動車運送事業法の改正案が成立しました|一般貨物自動車運送事業・トラック事業

本日令和7年6月4日の参議院本会議にて、「貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律案」(以下、「改正法」といいます)が成立しました。
本記事では、この改正法の中でも特に重要な「許可の更新制」を重点的に解説しつつ、全体についても解説いたします。
当事務所では、コンプライアンスを充実させ、ドライバーを大切にする事業者様を育てるサポートしております。
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本記事の著作及び監修


行政書士 乗越 悠生

Yusei Norikoshi

福岡県行政書士会所属 福岡県北九州市出身の行政書士・特定行政書士
20歳の時に行政書士登録
福岡県北九州市を本拠地にトラック事業やタクシー事業(介護タクシー)、乗合バス事業、貸切バス事業等の運輸手続きに注力
専門業務:車庫証明・自動車の名義変更等登録手続き・出張封印
     運輸関係許認可(貨物運送事業・旅客運送・乗合運送・貸切運送)

趣味:ドライブ・お散歩・昼寝

〒802-0011
福岡県北九州市小倉北区重住3丁目2-12
行政書士 乗越悠生(のりこしゆうせい)
電話:090-9654-3117 FAX:093-471-2411

メール:y.norikoshi.gyosyo@gmail.com

改正貨物自動車運送事業法(第217回国会・衆法33号)の概要

2025年6月4日に参院本会議で可決・成立(賛成232、反対2)した改正法(公布:同5月30日法律第47号)は、物流2024年問題を背景に 「持続的・安全なトラック輸送網の再構築」 を掲げ、事業者・荷主双方に踏み込んだ規制強化を行います。

改正ポイント概要実務インパクト
1 事業許可の5年更新制導入従来は〝終身許可〟だったが、5年ごとに安全・法令順守・財務基盤を審査。運行管理・経理・コンプラ体制の継続的な自己点検が必須。更新手数料や社内監査コストも発生。
2 「適正原価」以下の運賃契約を禁止国交大臣が告示する「下限原価」を下回る運賃・料金での荷主契約を禁止。荷主交渉で原価資料の提示が必須に。値引き一辺倒の営業慣行を是正。
3 多重下請け(再々委託)2段階までに制限真荷主案件の委託階層を2段階以内に抑制。3段階目以降は原則禁止。元請は委託フローの可視化が必要。3段階超え部分の解消や自社ネットワーク再構築が課題。
4 「真荷主」の定義拡大これまで例外扱いだった第一・第二種貨物利用運送事業者も真荷主に含め、荷主責任を明確化。フォワーダーも荷主規制の対象に。契約書発行義務や違反時の勧告・公表リスクに留意。
5 運送契約書面の交付義務元請⇔実運送者間・荷主⇔元請間すべてで「運賃・荷役条件」等を明記した契約書面を交付。取引開始前にテンプレ整備を。電子契約も可だが保存要件に注意。
6 「実運送体制管理簿」の作成・保存元請が下請け階層・区間・運賃を一覧化した管理簿を作成し5年間保存。TMS(輸送管理システム)やスプレッドシートでのリアルタイム更新体制が推奨される。
7 行政処分の強化改善命令・事業停止・許可取消しの要件を拡大し、違反荷主名の公表制度も創設。悪質事案は荷主ごと公表されるためレピュテーションリスクが顕在化。
8 施行期日と経過措置原則 2025年4月1日 までに段階的施行(政令で細部を定める)。更新制は初回更新が「許可取得5年以内」または「改正法施行後5年以内」。書面交付は施行日から即適用。

物流事業者向けチェックリスト

  • 社内体制 ― 更新審査で問われる「安全管理規程」「コンプライアンス教育」などを文書化。
  • 価格戦略 ― 原価計算の標準フォーマットを整備し、荷主交渉に備える。
  • IT投資 ― 委託段数カウントと管理簿自動生成を行うTMS導入で事務負担を軽減。
  • 顧客説明 ― 荷主・フォワーダーに対し下限運賃や委託制限の法的根拠を周知し、契約書面に反映。

荷主企業が留意すべき点

  • 下限原価を下回る発注は「違法契約」となるため調達部門は単価算定プロセスを再設計。
  • 委託階層の深掘りチェック義務が生じるため、元請から管理簿の提出を受ける体制が必要。
  • 違反時の公表リスクを踏まえ、コンプラ部門・広報部門とも連携を。

既存の許可業者に与える影響

既存の許可業者の更新時期は、同改正法の附則において次のように定められています。

許可の更新に関する経過措置

第四条 この法律の施行の際現に旧法第三条又は第三十五条第一項の許可を受けている者
は、施行日に
第二条の規定による改正後の貨物自動車運送事業法(以下この条において
「新法」という。)第三条又は第三十五条第一項の許可を受けたものとみなす。この場
合において、旧法第三条又は第三十五条第一項の許可に条件が付されているときは、当
該条件は、新法第三条又は第三十五条第一項の許可に付されたものとみなす。
2 前項の規定により新法第三条又は第三十五条第一項の許可を受けたものとみなされる
者の当該許可に係る施行日後の最初の更新については
、新法第六条の二第一項中「五年
ごと」とあるのは「貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律(令和七年法律第▼▼
▼号)附則第四条第一項の規定により第三条の許可を受けたとみなされた日から起算し
て二年を経過した日から七年を経過する日までの間において国土交通省令で定める日ま
」と、新法第三十五条第五項中「五年ごと」とあるのは「貨物自動車運送事業法の一
部を改正する法律附則第四条第一項の規定により第一項の許可を受けたとみなされた日
から起算して二年を経過した日から七年を経過する日までの間において国土交通省令で
定める日まで
」とする。

要約すると下記のようになります。
・既存の許可業者は、改正後の貨物自動車運送事業法の施行日において改正後の法律の規定により許可を受けた業者とみなされます。
・既存の許可業者は、上記の規定により、許可を受けたとみなされた日から起算して2年を経過した日から7年を経過するまでの間で、国土交通省令で定める日までに更新が必要になります。

許可の維持更新と安全な運航体制を構築するために
行政書士の活用をご検討ください

許可の更新は、更新時期が近づいてから準備するのでは足りません。

日頃の運行から事故を予防し、法令を遵守する体制を構築し、貨物自動車運送事業法等に基づく行政処分を受けないようにコンプライアンスを重視した経営が欠かせません。

そのためにも運輸手続きと関係諸法令に精通した行政書士をご活用ください。

当事務所では、トラック事業者様を中心に月額11,000円から顧問として関与させていただいています。
法令で定められた帳簿等の管理や車両の増減車の手続きなど多角的にサポートしています。
お気軽にお問い合わせください。

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